はじめに
放射線治療は、手術や化学療法とならんで、がん治療の3本柱のひとつです。
放射線治療は全身的な効果や副作用をもつ化学療法と異なり、局所的な治療です。手術も同様に局所治療ですが、手術と大きく異なる点は、体に直接的な傷をつけずにがん治療ができることです。体の形や働きを温存しながら治療ができる点が放射線治療の最大の利点です。また、近年の技術向上に伴って、より正確で高度な治療が可能となってきています。
放射線治療にも副作用がありますが、高性能なコンピュータを用いて、正常な組織へのダメージをできるだけ小さくするようにしています。
放射線治療とは
放射線は目に見えないビームです。体に当たっても痛みや熱を感じたりすることはありません。治療に用いられる放射線は高いエネルギーを持っており、体の表面を通って体の奥に届きます。この高エネルギーの放射線を目的とする病変に当てることで、腫瘍を縮小させることができます。
体に直接傷をつけることもありませんので、体に優しい治療といえます。
放射線治療の種類
放射線治療には大きく分けて2つの方法があります。
体の外から放射線をあてる外部照射と、体の中から放射線をあてる内部照射です。
外部照射
ライナック(リニアック)と呼ばれる放射線が出る機械を用いて行います(写真)。患者さんは寝台の上で静かに横になっていただくだけで結構です。治療中に動くと目標とは異なる部位に放射線が当たってしまいますので、治療中は動かないようにする必要があります。頭部や頚部の治療を行う場合には固定用のマスクを作成して頭を寝台に固定します。
通常、照射にかかる時間は1部位につき5〜10分程度で、そのうち実際に放射線が出ている時間は1〜2分です。
長崎大学病院では2台のリニアックが稼働中です。
内部照射
小線源治療とも呼ばれます。放射線を出す物質を密封した金属を病変の近くに留置することで、病変の部位に集中して高い線量を投与する治療法です。全てのがん治療に用いられるわけではありませんが、いくつかのがんにおいて大きな力を発揮します。
当院では、前立腺癌に対する小線源刺入や、子宮頚癌に対する高線量率腔内照射などを行っています。